中医薬膳師めざして勉強中のKYOです。あっというまに10月も半ばです。
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今日の話題は…
3連休ということで、京都府南丹市、美山町に行ってきました。
美山町といえばその名の通り、美しい山、そして豊かな川、とんがり帽子のかやぶき屋根が有名な場所。
よく「日本の原風景」と例えられますが、行ってみると本当に景色が「日本昔ばなしの世界」なんですよ(^ ^)
…ここで「薬膳の話じゃないんかい!」と思われた方、半分正解です(笑)。
このサイトのタイトルは「ナチュごよみ」ですので…ナチュラル(自然派)のものなら何でも取り上げてしまおうという魂胆です。笑 一応、体に良いものの話もしようと思います!
経済と文化を伝えた「西の鯖街道」中継地点
縦に長い京都の、中央あたりに位置する美山町。京都の小学生なら必ず授業で習います。娘も、ちょうどこの前学校で習ったよ!と言っていました。
最寄りの駅はないので、車かバスで向かうことになります。京都市内の自宅から車で出発。2時間ほどの山間の道のりです。ここをかつては人が荷物を担いで山を超えたのか…遠い昔に思いを馳せます。
若狭湾で水揚げした鯖を、京都まで運んだ道として知られる「鯖街道」。美山町を通るルートは西の鯖街道と呼ばれ、福井県から京都御所までの中継地点として栄えたそうです。
西の鯖街道とは違うルートですが、鯖街道を走る「鯖街道マラソン」があり、鯖街道とマラソンを愛する方々が参戦するそうですよ。興味のある方は、ぜひ。
そして到着したのは、美山町の「かやぶきの里」近く。かやぶき屋根の家々が立ち並び、目の前は鯖街道、そして透き通る水が悠々と流れる由良川。景色がとてもきれいです。
名前は知っているけど味は知らない「きび」
駐車場を降りてすぐ、何かが干してあるのを発見。
これは何だ…と近寄ってみると、「きびを乾燥させています。触るとボロボロ落ちるので触らないでください」と張り紙がしてありました。
きびといえばきび団子でおなじみ。でもどんな風に生えているのか、どんな味がするのか…まったくイメージがわきません。
このきびが干してあったのが、お蕎麦屋さんのお庭。
ちょうどお昼だったので、こちらで休憩することにしました。
山の幸をオーダー
メニューを見ると、先ほど発見したきびを使った「きびご飯」がある!これは食べてみたい!そばと一緒に頼んでみることにしました。
裏に干してあったきびは、店で出される料理に使うものだったんですね。それと、メニューに「鹿肉のしぐれ煮」も発見!こちらも頼むことにしました。
実は最近薬膳を勉強していて、鹿肉が気になっていたのです。というのも薬膳で鹿肉は、体を温める「助陽類」。他にも助陽類に含まれるものといえば、エビ、なまこ、イワナ、羊肉、犬肉、鹿肉、熊肉、雀。なかなかワイルドなラインナップだと思いませんか?
「めっちゃワイルドやな!でも京都にいる限り、エビ以外は食べる機会はあまりないだろうな」と思っていたのです。でもこんなに早く、しかも京都府内で食べる機会が訪れるとは!笑
鹿肉は意外なほど○○だった!
そうこうしているうちに、注文したものが来ました。お蕎麦は白めで細く、上品なお味。ところどころ細いのや太いのがあったりして、手作りということがバシバシ伝わって来ます。こちらの蕎麦は、かやぶきの里周辺で栽培された蕎麦の実を使って作っているそうです。
そして鹿肉のしぐれ煮。しょうがと一緒に煮込まれています。いただいてみると、思った以上にクセがなく、やわらかい!味も風味も牛肉のしぐれ煮に似ていて、かみしめると旨みがジュワッと出てきます。後からほんのりジビエ風のクセが香るのがポイントです。
もっとかたくてクセがあると思っていたので、意外なほどの食べやすさにびっくり。調べてみると、鹿肉は高タンパク低脂肪で鉄分の含有量が高いのが特徴。かたくて匂いがきついというイメージは、血抜きの処理などに問題がある場合だそうで、実際はやわらかく匂いも気にならないそうです。
同行した両親は、北海道でよくエゾジカを食べると言っていました。北海道では割とメジャーな食材なんでしょうか。ヨーロッパでもよく食べられる鹿肉ですが、特にドイツは世界最大の鹿肉消費国。体を温める肉ということで、やはり寒い地方で重宝されそうです。
食材メモ
- 【鹿肉】
- 五性 温
- 五味 甘、鹹
- 帰経 腎、脾、胃
- 働き 温める
きび入りのご飯を食べてみる
きび団子は知っていますが、きびご飯は初めて。最近の雑穀ブームで、他の雑穀とともに食べたことはありますが、きびだけを食べたことはありません。
こちらもいただいてみると、ほっくりプチっとした食感で、豆ご飯の感覚です。ほんのり塩気がきいて、何の違和感もなくいただけました。
薬膳で五穀のひとつが「黍(きび)」ですが、日本でもきびは古来より重要な穀物とされていました。人日の節句(1月7日)にいただく春の七草がゆは、奈良時代には「七種(ななくさ)」7種類の穀物を使ったおかゆのこと。その穀物のひとつが、きび。平安時代になると春の行事「若菜摘み」と結びつき、春の七草がゆは今の「青菜7種」に変化していきました。
薬膳的に見ると、きびは清熱類に属する食材。特に梅雨の時期、湿気のせいで不調になりがちな胃腸を整えるのにぴったり。炊きたてのきびをつぶして丸めたきび団子は、夏バテの予防にもおすすめです。
食材メモ
- 【黍 きび】
- 五性 平
- 五味 甘
- 帰経 脾、肺
- 働き げっぷ、咳
美山のかつての生活を体感
かやぶきの里は小さな集落ですが、集落の中には古民家を再現した民俗資料館があります。立ち寄ってみることにしました。
実際に使われていた昔の民家の中でも、一番大きいものをモデルに再現し、資料館としたそうです。高くなったかやぶき屋根の内側はどうなっているんだろう!?と思い、階段を上ってみると、いわゆる屋根裏部屋になっていました。そして、かやぶき屋根のすきまから空が見える!これは寒いだろうな。
資料館受付のおばさんに聞くと、「屋根裏は、昔はかやぶきのかやを保存してましたねえ。今はどこの家も物置に使ってますよ。この辺りはとっても寒いので、寝るのは囲炉裏の周りやおだいどこ(台所)周りですね。実際に人が住んでいる家は、屋根はかやぶきでも、壁とクロスを貼って風が入らないように住みやすくしてますよ」とのこと。
確かに寒いし不便だと思うのですが、家の持つ味わいがなんともすごい。縁側から庭に出てみると、昔にタイムスリップしたような気分になれます。
たまたま居合わせた男性のお客さんが奥さんに一言。
「なあ母ちゃん、やっぱり俺、縁側付きの家がいいわ!」。
家を建てたらぜひ見に行かせてほしい。笑
↓美山町民俗資料のサイトはこちら
お茶をいただく
民俗資料館では地元のみなさん手作りの薬草茶をいただきました。
入っているのはスギナ、ヨモギ、茶、ドクダミ、オオバコ、笹、柿の葉。
どれも昔から薬草として飲まれているものばかり。
娘は気に入ったようで、ごくごく飲んでいました。感想ノートにも「香ばしくておいしかったです」と記入。年長の僕は「ちょっと苦手」。
- 【スギナ】
つくしの栄養茎がスギナ。生命力がとても強く、漢方では「問荊(もんけい)」。利尿作用があるので、むくみが気になる人に。 - 【ヨモギ】
草餅でおなじみ。薬膳では体を温めるとされ、お冷えや風邪対策に。漢方では「艾葉(がいよう)」として、さまざまな疾患に用いる。 - 【緑茶】
薬膳では涼性で、体の熱を冷ます。こもった熱を取って頭をすっきりさせ、消化にもよいので食後のお茶としても最適。 - 【ドクダミ】
毒や痛みによいのがドクダミの名の由来。昔から毒消しや腫れものに利用した。お茶は便秘ぎみの人におすすめ。 - 【オオバコ】
道端でよく見られる生命力の強い草。漢方では「車前草(しゃぜんそう)」、種子は「車前子(しゃぜんし)」。主に消炎、利尿薬として用いる。江戸時代には救荒植物として若菜を食べていたそう。 - 【笹】
春にやわらかい新芽を摘んで陰干しする。葉に含まれる葉緑素が血液の流れを促進。口臭予防にも効果的。 - 【柿の葉】
葉は真夏のものを日干ししてよく乾燥させて使う。利尿作用が高く、新陳代謝の促進に。
きれいな空気と景色に癒されるプチ美山の旅。紅葉の頃はさらに美しいと思います。気になったらぜひ行ってみてくださいね。
またゆっくり訪れたいです
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