酷暑の夏が過ぎて、涼やかな風が吹く秋になりましたね。最も過ごしやすい季節ですが、中医学では「燥邪」が盛んになり、乾燥によるダメージが増えるとされます。そこで「潤い」が鍵になってくるのですが、意外にも秋のフルーツやスイーツが秋の薬膳に使えるのです。それぞれの症状に合うレシピをまとめてみました。
Contents
乾燥から起こる症状って?
秋の乾燥した空気「燥邪」が侵入すると、体内の潤いが不足し、呼吸器系のトラブル、肌や髪の乾燥、便秘などさまざまな症状につながります。
部位 | 症状 | 詳細 |
---|---|---|
呼吸器系の乾燥 | 空咳、喘息、鼻血、口の渇きなど | 乾燥した空気の影響で呼吸器系にトラブルが出ます。 |
肌・髪の乾燥 | 肌の乾燥、シワ、髪の乾燥、フケなど | 体内の潤いを司っているのが「肺」。肺が乾燥すると肌や髪もカサカサに。 |
腸の乾燥 | 尿が濃い、便がかたい、便秘、切れ痔など | 中医学で肺は大腸とつながっていると考えるので、お通じにも影響します。 |
どれもうれしくない症状ですよね…これらに合うスイーツをご紹介していきます。
乾燥トラブル予防に「杏仁豆腐」
秋にスイーツを食べるなら杏仁豆腐がおすすめ!杏仁豆腐の杏仁はきょうにんと読み、秋に増える乾燥の症状に使える漢方薬としてもおなじみです。杏仁にも種類があり、漢方薬に使われるものと食材としての杏仁は異なりますが、市販の杏仁豆腐を買うときは、なるべく杏仁粉を使っているものを選ぶといいですね。
美肌&美髪ケアに「黒ごまプリン」
プリンのメイン材料は牛乳。牛乳は薬膳で潤いを生む食材です。黒ごまも同じく潤いを生み、また白髪や美髪、エイジング対策にも使われる食材です。こってりケーキは養生的にNGですが、甘さひかえめの手作り黒ごまプリンなら薬膳としてもOKですね♪(でもアイスクリームや生クリームはのせないで〜!)
乾燥気味の便秘に「いちじくヨーグルト」
便秘といえばいちじく。粘膜を潤す効能があるので、乾燥するタイプの便秘や、秋に増える切れ痔の症状に最適です。ヨーグルトと食べれば整腸効果が高まります。
燥邪には外燥と内燥がある
実は秋の乾燥(燥邪)にもいくつか種類があり、大きく分けると外から来る乾燥(外燥)、体内の潤い不足(内燥)があります。外燥が続くと内燥になるので、もともと体内が乾燥気味の人は要注意。基本的にはどちらも「潤す」ことで対処していきます。
分類 | 種類 | 代表的な症状 |
---|---|---|
自然界の燥邪 外燥 | ①温燥 まだ暑さが残る初秋 | 微熱と空咳 |
②涼燥 徐々に寒くなる晩秋 | 悪寒と発熱、空咳 | |
体の中の乾燥 内燥 | ③陰虚 潤し冷ます機能の不足 | のぼせ、ほてり、乾燥、手足の熱、午後からの発熱 |
④血虚 血の量と栄養の不足 | 毛髪のツヤがない、肌の乾燥、かゆみ、不眠、物忘れ | |
⑤津液不足 潤いの不足 | 毛髪のツヤがない、肌の乾燥、かゆみ、喉の渇き |
①暑さが残る温燥
まだ暑さが残る秋分までの時期には、軽い咳、口や鼻の乾燥、喉の痛み、皮膚の乾燥、痰に血が混じるなどの症状が起こりやすくなります。
おすすめ食材
この時期はまだまだ暑く体内に熱がこもりがちなので、きゅうり、トマト、セロリ、メロン、キウイ、マンゴー、りんご、豆腐など 夏に引き続き体の熱を冷ます食材、潤いをもたらす食材を摂っていきます。
蒸し梨
梨は熱を冷まして潤いをもたらす効能、痰を取る働きがあり、この時期におすすめです。生で食べてもおいしい梨ですが、少し体を冷やすので、蒸せば胃腸にも優しくなります。芯をくりぬいて、はちみつを入れてレンチンして完成♪
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②徐々に寒さが増す涼燥
秋分を過ぎて徐々に寒くなる時期。乾燥に加え、悪寒、頭痛、鼻づまり、口や鼻の乾燥、咳など寒さによる風邪の症状も起こりやすくなります。
おすすめ食材
小松菜、アスパラ、豚肉、卵、牛乳など潤いをもたらす食材のほか、体を温める食材、また豆乳・里芋・柿など痰を取る働きがある食材もおすすめです。
はちみつしょうが
体を温めるしょうがをすりおろしてお湯に溶かし、体を潤すはちみつを加えて完成。特にのどが痛い時の秋風邪にぴったりです。秋のティータイム、お茶がわりに飲んでホットなひとときを。
③冷ます機能の不足「陰虚」
睡眠不足や飲食の不摂生、過食、ストレス、更年期などが原因で、体全体を潤し冷ます「腎」の機能が落ちるのが「陰虚」。潤い不足で「ほてり」「のぼせ」など熱の症状が出るのが特徴です。のどの渇き、微熱、耳鳴り、不眠、記憶力の低下、気温に関係なく寝汗をかくなどの症状も出やすくなります。
おすすめ食材
セロリ、トマト、バナナ、キウイ、カニ、豆腐などの熱を冷ますもの、小松菜、牡蠣、ホタテ、豚肉など潤すものを摂っていきます。生姜やニンニク、唐辛子など熱を生む辛いもの、シナモンなどの香辛料、牛肉など脂っこいものは控えめに。
バナナミルク
鍋に牛乳を入れ、輪切りにしたバナナを10分ほど煮て、はちみつをかけて出来上がり。バナナが熱を取り、牛乳が肺を潤します。
④血の不足「血虚」
ストレスや胃腸の弱りなどで血の量、質とともに落ちるのが「血虚」。体内の潤いをもたらしているのが血なので、不足すると毛髪のツヤがない、肌の乾燥、肌のかゆみ、目の乾燥などの症状につながります。
おすすめ食材
鶏レバー、ほうれんそう、にんじん、ピーナツ、ぶどう、ライチなど血を作る食材のほか、米、芋類など気を補うものも摂っていきましょう。また血虚の場合、不眠の症状も多く見られるのですが、血を消耗するため夜更かしは厳禁です。
ぶどうのコンポート
旬のぶどうは血の不足にぴったり。赤ワインでコンポートすると、フルーティでとってもおいしくて感動!巨峰は湯せんして皮をむき、赤ワイン、水、はちみつ、砂糖、レモン汁を入れた鍋で色がつくまで煮ます。そのまま冷まして味をなじませてからいただきます。赤ワインがない場合は、むいた皮と一緒に煮るとワイン色が出ます。
⑤潤いの不足「水不足」
胃腸の不調で体内の水がうまく作り出せない場合や、多汗や下痢などで体液を消耗した場合、体内の潤い不足になります。喉の渇き、皮膚の乾燥、かゆみ、キメが粗い、髪のツヤがない、便秘、尿が少ないなど乾燥の症状が現れます。
おすすめ食材
百合根、アスパラ、小松菜、ごま、松の実、豚肉、卵、牡蠣、ホタテ、白きくらげなど潤いを補う食材を摂っていきましょう。
ぷるぷる白きくらげ煮
楊貴妃や西太后が美容のために好んで食べたといわれる白きくらげ。薬膳では潤いをもたらす食材とされています。きくらげはお湯で戻さず水で戻し、じっくりトロトロになるまで煮ると潤い力がアップします。
心の養生も大切に
中医学で秋は「悲しみ・憂い」の季節。落ち葉を見て物悲しくなるのも、気候が影響していると考えます。秋は肺のエネルギーを消耗するため、無気力、やる気が出ない、声が低いなど元気がなくなります。悲しみすぎると肌や髪のつやがなくなり顔色も悪くなるので、明るい気持ちで過ごすことが大切。早起きして秋の澄んだ空気を胸いっぱい吸い込むことも肺によいですよ。
楽しく乾燥対策しましょう!