薬膳に興味がある人なら「資格、取った方がいいのかな…?」と一度は考えたことがあるはず。通信や学校の薬膳資格を考える前に、そもそも薬膳資格って本当に必要なんでしょうか。
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日本で取得できる資格は大きく分けて3種類
薬膳資格に限らず日本で取れる資格には本当にさまざまなものがありますが、大きく分けると3種類になります。
①国家資格
国が認める資格。資格を取らないと、その仕事ができないという職業も含まれます。
〈医者、弁護士、栄養士、管理栄養士など〉
②公的資格
各省庁や民間団体、公益法人などが認定する資格です。
〈日本漢字能力検定、実用英語技能検定、秘書検定など〉
③民間資格
民間団体や企業が認める資格。非常に幅が広く、知名度や信頼性が高いものからそうでないものまでさまざまなものがあります。
〈歯科助手、医療事務、TOEIC、英検など〉
薬膳は民間資格だから役に立たない?
独学や通信で取れる薬膳・漢方検定、薬膳マイスター、薬膳アドバイザー、各種学校の資格など、日本で取得できる薬膳の資格はほとんどが民間資格です。一部、国際資格と呼ばれる薬膳資格(国際薬膳師、国際薬膳調理師、国際中医薬膳師など)がありますが、中国で権威のある薬膳団体による認定資格であり、国家資格ではありません。
「えっ、じゃあ薬膳の資格は民間資格だから取っても意味がない!?」と思った人もいるかもしれませんね。その答えをまとめていきたいと思います。
薬膳資格の目的は大きく分けて2つ
まず、「薬膳資格が役立つ」という意味を考えてみたいと思います。この「役立つ」とは、何に対してを指すのでしょうか。
健康目的
薬膳資格を取得する大きな目的の一つは、「薬膳を学ぶことで自分や家族の食生活に役立てる」です。不調を治したい、病気を防ぎたい、いつまでも美しくいたい…など。こういった「健康目的」がきっかけで、多くの人が薬膳を始めるのではと思います。
薬膳資格によってレベルの差はありますが、どんな資格でもきちんと勉強すれば一通りのことが身につき「健康目的」に役立てることができるはず。ですので、「薬膳の資格は取ってもムダ」ということにはなりません。
社会的な目的
もうひとつの資格取得の目的は、薬膳資格を取得することで転職、キャリアアップしたい、認められたい、起業して自分の夢を叶えたいなど「社会的な目的」です。
確かに、国家資格などに比べると薬膳資格は就職や転職に役立つチャンスが少ないかもしれません。でも薬膳の資格を活かして仕事をしている人はたくさんいます。薬膳資格は、人によっては大いに役立っているといえるでしょう。資格を取得して薬膳教室を開くなど、起業する人も多いなと感じます。
例えば、私が行っている京都府の薬膳講座では高齢の方が多く「健康目的」が大多数です。一方、本草薬膳学院でスクーリングを受けた際には、「管理栄養士をしていて、東洋的な考え方を学びたいから」「助産師をしていて、妊婦さんの食事ケアをしたいから」…などなど、キャリアのために資格に挑戦している人がたくさんいました。
薬膳資格を取るメリット
薬膳資格にはさまざまなものがありますが、企画会社が運営する薬膳資格や、教育機関の薬膳資格を取ることで得られるメリットを考えてみます。
①体系的に薬膳の勉強ができる
薬膳を勉強したことがある人なら分かると思いますが、薬膳を勉強しはじめると、見慣れない単語や難解な用語にかなり苦しみます。薬膳の独学が難しいと言われるのはこの点です。
薬膳の資格を取るとなれば、それぞれにひもづいた通信教育や教材、スクールがあり、理解しやすく工夫された動画や教材で学ぶことができます。お金はかかりますが、スムーズに薬膳を学べることは大きなメリットです。
②勉強・努力した証明や自信になる
薬膳の資格といっても難易度はさまざまですが、努力しなければどんな資格も取得することはできません。資格はまさに「努力した」という証明。
また、資格があることで自分の心の支えにもなるので、自信になります。自信がない人ほど、資格が後ろ盾になるのではないでしょうか。
③仕事の幅が広がる、仲間ができる
薬膳の知識を生かせる職場や仕事の裾野は、どんどん広がっています。高齢化が進む日本では、健康長寿を目指す予防医学として中医学が注目されているためです。病院、介護、メーカー、小売業、飲食業などなど、中医学や薬膳を生かせる業界や業種は今後ますます増えるでしょう。起業する場合も資格を持っていることで説得力を高めることができます。また、スクールなどに通っていれば仲間ができます。仲間がいれば心強く、励みにもなり、ビジネスでのつながりにもなる可能性があります。
薬膳資格が役に立たない人
薬膳資格が役立つ人もいれば、役立たない人もいます。どういった場合に、薬膳資格が役立たないのでしょう。
①勉強・実践しなかった人
当たり前ですが、薬膳資格が役立たないのは薬膳の勉強をほとんどしなかった人です。薬膳の教科書には見慣れない言葉や漢字が多いため、教材を開いてすぐに「無理だ」と諦めてしまう人もいるようです。また、多少は勉強して資格は取ったものの、実践できるほどの知識や技術を身につけられなかった場合も、薬膳資格が役立たないでしょう。
②取得した後、全く使おうとしなかった人
薬膳資格のためにひととおり勉強すれば、ふだんの食生活に役立つはずです。これだけでも意味があると思うのですが、得た知識を全く使わなければ、取得した資格は役立ちません。いわゆる「取っただけ」です。もったいないですが、このケースは意外と多いのではないでしょうか。
③アピールする場所を間違っている人
栄養士など健康に関する職業の人なら、薬膳の知識は大いに役立つはず。でも例えばシステムエンジニアを求めている企業に薬膳の資格をアピールしても役立つとは思えません。目的設定を間違っている場合は、キャリアアップにつながりにくいでしょう。ただ、本業はシステムエンジニアだけれど副業で薬膳をやりたいという人にとっては、資格の学びが生きてくると思います。
ただ色彩の知識は、ブログを構築する際やふだん洋服の配色を考えるのに多少は役立っているので、まったくムダだったとは思っていません。(何かをしてムダになることなどひとつもない!というのが私のポリシーです)
薬膳資格を取る必要がない人
薬膳資格は必ずしも必要なものではありません。薬膳資格を取らなくても薬膳は勉強できます。それはどういった場合でしょうか。
①独学で勉強できる人・資格にこだわらない人
薬膳の独学は難しいとは書きましたが、絶対に無理だとは思いません。薬膳には理論があるので、自己流になってしまうことをクリアできれば、自分のペースで実践できる独学はよいと思います。
また、薬膳資格に魅力や必要性を感じていないのなら、無理に資格を取る必要はないでしょう。「資格を取りたい!」と思って勉強するからこそ、取る意味があるからです。
逆に「スクールに通ったり通信教育はしたくないけれど、資格は欲しい」という人には独学で取れる「薬膳・検定」がおすすめです。
https://www.natugoyomi.com/post-437/
②資格に関係のない薬膳の学び場がある人
探してみれば意外と薬膳を学ぶ場はたくさんありますし、そういった場は資格取得を目的としていないことも多いです(独自の資格がある場合もあります)。
例えば、
- 薬膳授業と調理実習が体験できる薬膳料理教室
- カリスマ的な講師のもと中医学の講座や実践が行われているサークル
- 市町村で行われる薬膳の公的セミナー
- 薬科大学や専門学校など、一般社会人向けの授業
こういった学び場は、ライフワークや趣味の一環として薬膳が学べるところがいいところ。仲間とともに取り組めるところもあります。興味のある方は口コミや地域の新聞、ネット検索などで探してみてはいかがでしょうか。
〈結論〉薬膳資格は意欲次第。でも取った方が効率がいい
ここまで薬膳資格の目的やメリット、資格が必要ない場合などをまとめてきました。
私の結論は「体系的・効率的に勉強できるので、薬膳を勉強するなら資格を取った方が楽」です。
薬膳に興味を持った時「何から手をつけていいのかわからない、どうやって勉強すればいいのかわからない」というケースは多いです。まずは薬膳資格の取得を目指せば、学びがスムーズに進みます。
薬膳は理論体系化された学問なので、自己流になることを避けるためにも、まずは資格を取って知識のベースを作ることをおすすめします。そうして知識のベースを作ってから、より難易度の高い学校に進む、あるいはサークルや料理教室などに参加すると、より吸収も早いのではないかと思います。
私自身、薬膳を勉強すると決めた時は何から手をつけて良いのかわかりませんでした。でも薬膳資格を取得したことで基本の理論が身につき、全体像が見えてきたことがとても大きかったと感じています。
食生活に役立つから、薬膳資格はムダにならない
日本で取れる薬膳資格は、どんな資格でもそれなりに勉強すれば「自分や家族の食生活改善」に役立てることができるはずです。健康に生きるための一生モノの知恵となるので、決してムダにはなりません。
でも最終的に資格を取る取らないは、「あなたにとって資格が必要かどうか、なぜ必要なのか」です。薬膳にはさまざまな学びの場があります。ぜひ自分に合った方法を選んでくださいね。
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終わりではなく
実践していくことも大切だと感じています♪
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