天気のよい週末、夫と二人で山越えハイキングに行ってきました。ハイキングの途中で、なんと野生の茶の木を発見!たまたま地元の人らしき方がいたので聞いてみたところ、採っても大丈夫とのこと。そこで少し茶摘みさせてもらうことにしました。
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野生化した茶の木
京都がお茶の産地だからか、近くにお寺があったからか、栽培していたものが野生化してしまったようです。本を見ると「茶の木は中国原産だが、各地で野生化している」とあります。
時期はちょうど「夏も近づく八十八夜」のころ。まさに「新茶の茶摘み」です。解毒作用があり、古くから「薬」として重宝されてきたお茶。特に八十八夜のものを飲めば一年間病気をしないともいわれ、縁起が良いとされています。
茶の木の見分け方
お茶の木って知らない人から見ると、ただの「木」。私はたまたま実家の庭に茶の木があったので、「あー!お茶の木!」とすぐにわかったのですが、夫は「????」だったそうです。
お茶の木はツバキやサザンカと似ているので、初めての人だと見分けづらいかもしれません(そもそもお茶ってツバキ科です)。私のイメージではツバキやサザンカは幹が太めでしっかりしていて、割と高木。葉は、厚みがあってかたく、深い緑です。
いっぽうお茶の木はそこまで大きな木にはならず、幹は太くありません。葉はツバキより厚みがなく、やわらかで、緑も少し鮮やか…という印象です。
こんな感じで実がついていればお茶の確率大。ちなみに昔はお茶の実をしぼって食用油にしたり、洗髪に使っていたそうです。
↑そっくりな木が生えていて、街育ちの夫がしっかり間違ってくれました。これはお茶の木ではありません。いやー、ややこしい。
あまりおすすめはしませんが、いちばんわかりやすいのは葉を食べてみること。お茶なら、しっかり苦味があり、お茶の香りがします。
お茶の摘み方
新茶の季節なので、黄緑色の新芽がわ〜っと生えてきています。摘むのは新芽の「一芯二葉」と呼ばれる部分です。これを摘み取ります。ハサミやナイフがあればベスト。これがなかなか大変。お茶摘みって大変な作業ですね…。
煎茶の作り方
さっそく持ち帰った茶葉で、煎茶を作ってみることにしました。参考にさせていただいたのは、同じ京都で親近感のわいた「南山城村」の道の駅サイト。
- ①まず茶葉をさっと洗って蒸します。
- 電子レンジで1分チンしてもよいのですが、我が家はタジン鍋でさっと蒸すことにしました。葉がしんなりして、ふわっと香りが出ればOK。
- ②蒸した茶葉を広げて、もみます。
- クッキングシートの上に蒸した茶葉を広げ、しっとりした葉を指でもみもみします。よくテレビで見るように、両手をこすりあわせるようにもんでみました。
- ③フライパンで茶葉を乾煎りします。
- 一番弱火で茶葉を乾煎りし、箸で焦げないよう混ぜながら、少しずつ水分を飛ばしていきます。
- ④少し水分が飛んだらクッキングシートの上に広げて冷まします。
- 冷めたら、しめっている部分の葉をよく揉み、またフライパンで乾煎り。これを5〜6回繰り返します。
- ⑤水けが飛んだら完成!
- 茶葉がパリッとしたら、クッキングシートの上で30分ほど乾燥させて完成!
量が多かったので、うちでは合計7回乾煎りして完成しました!疲れた…。密閉容器で保存します。水分が飛び切っていないとカビが生えるかもしれないので、冷蔵庫に入れると安心ですね。
緑茶のいれ方
作った煎茶を、さっそくいれてみることに!
- ①沸騰したお湯を適度に冷まします。
- 緑茶のタンニンは熱湯で溶け出すので、お湯が熱いと渋みのある味わいになり、ぬるめ(70〜80度)に冷ますと旨みがよく出ます。お湯を別の容器に移して冷まします。一回移すごとに約10度温度が下がるそうなので、数回繰り返せばOK。
- ②急須に茶葉を入れ、適温に冷ましたお湯を注ぎます。
- 茶葉の量はティースプーン2杯ほど。お湯を入れ、ふたをして3分ほど蒸らします。自作の茶のためか、蒸らし時間が少ないとお茶成分が出にくいので、ちょっと長めに蒸らしました。
- ③均等に注ぎます。
- 緑茶は最後の一滴がおいしいと言いますよね!最後までいれ切ってください。
飲んでみると…とってもおいしい!市販のものよりかなり色は薄いですが、新茶ならではの爽やかな香りがふっと鼻を抜け、旨味も感じられます。あとから苦味がふわっとくるのがまた良い感じです。
京都の萬福寺で煎茶の講義を受けたことのある夫に教えてもらった、煎茶のポイントはこちら。
- お茶の種類や水の種類も大切だけれど、何よりも大切なのがお湯の温度。お湯の温度が高いとタンニンが溶け出して渋みが出るので、ぬるめがおすすめ。
- 特に一煎目のお湯はぬるめにすると、旨みが楽しめる。
- お湯を入れたらフタをしてしっかり蒸らすこと。
- 同じ茶葉で三煎ほど楽しめる。
いつ頃採るのがベスト?
実は最初のハイキングの後、もう一度採りに行きました。1回目は5月上旬。2回目は5月中旬。
この差1週間ほどですが、お茶の葉はかなり伸びて大きくなっていました。味も、1回目の方がやわらかでまろやか。地域や天気にもよりますが、4月中旬から5月が新茶のシーズンだそうで、八十八夜はやはりベストシーズンなんですね。
出がらしは捨てないで
せっかく苦労して作ったお茶の出がらし。栄養も豊富に残って炒るので、捨てずに使いたい!ということで、キッチンペーパーの上に広げて乾かしてから、しょうゆと砂糖で煮て、佃煮にしました。
ごはんにかけて食べると、甘じょっぱい中に苦みが感じられておいしい♪大人の味です。
緑茶の薬膳的効能
さてさて、最後に緑茶の薬膳的効能をまとめておこうと思います。お酒が「百薬の長」なら、お茶は「万病の薬」。中国では2000年も前から飲まれていたともいわれます。
体内の毒素を排出する
薬膳でお茶といえば、薬物学のバイブル「神農本草経」の神農のエピソードが有名ですね。神農は365種類の薬物をひとつひとつ食べては多くの毒に当たり、お茶を飲んで解毒したと言われています。そのことから当時、お茶は「養生の仙薬」と呼ばれていたのだそう。
実際お茶の苦味には解毒作用があり、食中毒の予防にもなるとされています。利尿作用もあるので、体に必要な水分はバランスよくめぐらせながら、不要な水分は尿として排出し、体内の毒素を下から排出します。
緑茶は体の熱を冷ます
不発酵茶である緑茶は、体の熱を冷ます「清熱」の性質です。熱による頭痛・めまい・目の赤み、喉の渇き、過食による消化不良、利尿作用などに働きます。
体の熱を冷ますので、立夏から初秋ぐらいまでの暑い時期にぴったり。苦味があり心に作用するので、熱をしずめて解毒します。ジュースを飲んでも喉の渇きは止まりませんが、お茶は熱を取って喉の渇きを癒します。
暑がりタイプの人にもぴったり
緑茶は暑がりでのぼせやすい人、食欲が止まらない人にも好適です。また、食べたものを消化する「消食」のはたらきもあるので、脂っこいものを食べた時の消化をスムーズにし、食後の一杯にぴったりです。
基本は適温のお茶を少しずつ
暑いからといって冷たいお茶をガブガブ飲むと余分な水が体内に溜まり、飲みすぎると不眠・動悸・めまい・耳鳴りなどの不快な症状の原因になります。適温のものを少しずつ飲むのがコツです。妊娠中の人、便秘がちな人、高血圧や心臓疾患のある人は控えめにした方がよいとされています。
まとめ
新茶の時期に、たまたま出会った野生の茶の木。自分で採って作った煎茶は、爽やかな香りとまろやかな苦味をあわせ持った、初夏の味わいでした。
お茶を作る作業は手間がかかりましたが、お茶の香りがふわっと漂って幸せな気分に。また、手間がかかったからこそ、飲むときの嬉しさはひとしおです!今年の茶摘みはこれでおしまい。また来年、トライしてみようと思います♪
手作りは
楽しいですね♪