こんにちは!キョウです。今日は薬膳を学ぶにあたって避けて通れない「二十四節気(にじゅうしせっき)」についてまとめようと思います。二十四節気は昔から生活に使われてきた暦ですが、薬膳・中医薬の分野でもよく利用されます。
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薬膳には欠かせない二十四節気
季節の薬膳を勉強していると、必ずといっていいほど出てくるのが「二十四節気」。1年を24の節気に区切った暦のことで、各節気にはそれぞれ名前がつけられています。つまり昔のカレンダーのようなものですね。
古代中国は暦の先進国で、二十四節気は紀元前1300年には存在していたといわれます。暦を作ることは政治的な意味があり、皇帝が人民に授けて秩序を保つためだったといわれています。
昔から「季節に合わせた食事で五臓六腑の陰陽を整える」という考え方が根付いた薬膳では、二十四節気はとても重要な指標とされてきました。ちなみに、二十四節気をそれぞれ3つに分けた七十二候もあります。
季節 | 二十四節気 | |||||
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春 | 立春 りっしゅん 2/5前後 | 雨水 うすい 2/20前後 | 啓蟄 けいちつ 3/5前後 | 春分 しゅんぶん 3/20前後 | 清明 せいめい 4/5前後 | 穀雨 こくう 4/20前後 |
夏 | 立夏 りっか 5/5前後 | 小満 しょうまん 5/20前後 | 芒種 ぼうしゅ 6/5前後 | 夏至 げし 6/20前後 | 小暑 しょうしょ 7/5前後 | 大暑 たいしょ 7/20前後 |
秋 | 立秋 りっしゅう 8/5前後 | 処暑 しょしょ 8/20前後 | 白露 はくろ 9/5前後 | 秋分 しゅうぶん 9/20前後 | 寒露 かんろ 10/5前後 | 霜降 そうこう 10/20前後 |
冬 | 立冬 りっとう 11/5前後 | 小雪 しょうせつ 11/20前後 | 大雪 たいせつ 12/5前後 | 冬至 とうじ 12/20前後 | 小寒 しょうかん 1/5前後 | 大寒 だいかん 1/20前後 |
二十四節気と季節について
「二至二分(にしにぶん)」を基準に季節を4つにわけ、さらにその間を「四立(しりゅう)」の4つにわけ…と分割していき、春夏秋冬を各6つの節気(各15日)にわけたものです。
夏から秋にかけて、雨のよく降る季節が長夏。中医学発祥の黄河流域に当てはまる気候です。日本は長江の中・下流域と同じと考え、芒種(6/5ごろ)前後から1か月〜2か月の梅雨を組み込んで考えます。
立春、立夏、立秋、立冬それぞれの前の18日間が土用。土用は各季節にひっついていて、独立してひとつの季節にはなりません。
- 二至二分…冬至・夏至・春分・秋分
- 四立…立春・立夏・立秋・立冬
- 冬至…昼が一番短い日(太陽が南回帰線に達するとき)
- 夏至…昼が一番長い日(太陽が北回帰線に達するとき)
- 春分、秋分…太陽が赤道を通過するとき
季節にズレを感じるのはなぜ?
薬膳では季節に合わせて「夏は暑いので、体の熱をとる涼性のものを取り入れる」といったような考え方があります。
「いや…夏に入ったけど、まだ肌寒いし」なんて感じたことはないでしょうか?特に今年は、早くに梅雨入りした地域もあって、寒かったり暑かったりとよくわからない気候。涼性のものを食べていいのか、迷ってしまうところです。
その最たるものが立春です。春とはいっても冬の真っ最中だし、春の薬膳をとっていいの?なんだか、暦と季節感が微妙に合ってないような…。
暦と体感のズレを感じてしまいがちです。このズレはなぜ起こるんでしょうか。
ズレにはいくつかの理由が考えられています。
太陽の動きに対して、気温の変動は太陽よりも遅れるので、ズレを感じてしまう説。
例えば
二十四節気では夏の始まり立夏が5月で、昼が一番長くなる夏至は6月ですが、地上が最も暑くなるのは8月ごろで2か月もズレがあります。日本は夏至のころに梅雨があり、海に囲まれているので、大陸よりも気温の変動が遅くなると考えられています。
「節気の季節は昔の中国の黄河中流域のものだから、日本と違う」とする説もあります。また、日本は縦に長いので、各地で気候が違うということも理由のひとつです。
二十四節気は薬膳にちょうどいい暦
図で見ると青の丸で囲まれた立春・立夏・立秋・立冬の「四立(しりゅう)」は、季節の始まりです。
それぞれの季節の始まりには、まだ寒い!まだ暑い!というイメージがあります。赤丸で囲んだ、季節の真ん中をすぎると、私たちが持っている季節のイメージに近づきます。
立春はまだ雪が降るような寒い日ですが、春の後半の清明は陽気にあふれてまさに春というイメージ。立秋はまだまだ残暑で「暑いのに!」と思いがちですが、秋分を過ぎると本格的に秋らしくなってきます。
よくテレビで「暦の上では今日から春です」と言いますよね。暦の上では…という言い方は、体感の季節と暦とのズレを強調している感じがします。でも季節はグラデーションのように変化していくもの。四立は季節のスタート地点と考えればよいのかなと感じます。
陰陽の変化
陰陽はそれぞれ、成長と転化を繰り返しながら、地下と地表を行ったり来たりしていると考えます。春分になると、地下で徐々に成長していた小さな陽気がひょっこり顔を出す。季節は徐々に変化しています。
二十四節気は、体感する季節よりも少し早く感じます。でも薬膳では季節を少し先取りした食で養生するとよいので、ぴったりの暦だと思うのです。季節にもよりますが…
私が参考にしている本はこちら。季節ごとの考え方や、それぞれの節気に合ったレシピが参考になります。
調べてわかった!二十四節気の豆知識
二十四節気は太陽暦
漢字で書かれた節気のせいで、勝手に二十四節気を旧暦だと思い込んでいましたが、二十四節気は、古代中国で作られた太陽暦です。日本では1872年まで、中国から伝わった「太陰太陽暦」が使われていました。この太陽暦の部分が二十四節気です。
旧暦と新暦の違い
●太陰暦…月の満ち欠けを基準にしたもの。
●太陰太陽暦…太陰暦に二十四節気(太陽暦)を取り入れた暦。旧暦。
●太陽暦…地球が太陽のまわりを一周する日数を元にした、現在の暦。新暦。
旧暦と新暦は日付にすると約1か月ほどのズレがあり、その差は年によって異なります。例えば、2021年の立夏は5月5日水曜日ですが、旧暦では3月24日です。ぜんぜん違う!
二十四節気は今も昔もいっしょ
春すぎて 夏来たるらし白たへの 衣干したり天香具山
百人一首でも有名な、持統天皇の和歌。中国から伝わった二十四節気を取り入れ「ヤマトに夏が訪れた〜!」と立夏の喜びを宣言した和歌だそうです。
立夏といえば毎年5月5日ごろ。旧暦だからズレているのかな?と思ってしまいがちですが、二十四節気は太陽暦なので、私たちが思っている立夏とまったく同じなのです。
ズレてしまった旧暦の行事
明治政府が太陰太陽暦を廃止し、新暦を採用すると、旧暦で行われていた行事は新暦の日付に移行されました。
本来は節分ごろだった正月は冬の真っ最中になり(春の感じゼロ!)、
新暦の4月中旬ごろだったひなまつりはまだ寒い3月の初めになり(桃の花咲いてない!)、
本来は夏真っ盛りの時期だった七夕は梅雨の真っ最中に…(天の川見えない!)
実際に行われていた季節に日付を合わせたらよかったのに!と思うのは私だけじゃないはず。
節分はかつて正月だった?
節分は二十四節気と関係の深い「雑節」のひとつ。本来節分は、季節を分けるという意味で春夏秋冬4つの季節にあったのですが、今では立春の前日だけが残っています。
旧暦の正月は、新暦の2月上旬。だいたい立春と重なるので、立春を新年とする考え方があったそうです。正月のことを「初春」というのも、立春のころだったからといわれています。
まとめ
- ☑二十四節気は古代中国が生んだ大きな発明のひとつ
- ☑薬膳を学び作る上で二十四節気は欠かせない
- ☑二十四節気と実際の体感がズレるのは、気温の変動が太陽より遅れるから(諸説あり)
- ☑二十四節気は太陽暦で今も昔も一緒
- ☑旧暦の行事は新暦に移されて季節が合わなくなった
2016年、ユネスコの無形文化遺産にも登録された二十四節気。調べていくと、天文学や古代中国の歴史などが関係し、とても奥深いことがわかりました。また機会があればいろいろと調べてみたいと思います!
参考になれば幸いです!