二十四節気ではとっくに秋ですが、まだまだ暑いですね。みなさん突然の体調不良、大丈夫ですか?栄養ドリンクや早めの薬もいいけれど、「食べ物にも薬効がある」と考える薬膳なら、食材でかぜの養生をすることができるんです。この記事を読んで、暑い時期の不調や発熱に役立ててください!
Contents
風邪はかぜ?ふうじゃ?
かぜは風邪と書きますが、中医学では「ふうじゃ」と読み「風の邪気」のことを指します。邪気とは「体に悪い影響を及ぼし、病気の原因になるもの」のこと。風が一年中吹いているように、風邪も一年中あり、よく他の邪気と一緒になるのが特徴です。
かぜをひきやすい人は?
かぜをひきやすい人と、そうでない人がいます。この違い、中医学では「邪気と戦う力(正気)が強いかどうか」。人の体の表面には見えないバリア機能がありますが、このバリア機能が弱い人はかぜにかかりやすく、強い人はかかりにくいとされています。
体のバリア機能を破って邪気が体内に入ってくると病気になるので、かぜのひき始めは、体の表面にいる邪気をなるべく早く追い出すことがポイントです。
かぜにかかりやすい体質
実は、体質によってもかかりやすいかぜのタイプがあります。
- 寒さに弱い人…冬かぜ
- 体内の潤いが少なく、ふだんからのぼせ・ほてり体質の人…夏かぜ
- 体内に余分な水が滞っている人…梅雨時のかぜ
それぞれ、かかりやすくなるんですね。思い当たる人はいませんか?
熱タイプのかぜの特徴
かぜの症状といえばブルブル寒気、鼻水、くしゃみ…などのイメージがありますが、これは冬から初春に多い、冷えによるかぜの特徴。
一方、春から夏、秋のはじめごろに多い「熱タイプのかぜ」の特徴はこちら。
- 熱タイプのかぜの特徴
- ✔️高熱が出る
- ✔️寒気は少なめ
- ✔️汗が多い
- ✔️口が乾く、飲み物を飲みたがる
- ✔️喉が痛い、赤く腫れる
- ✔️激しい咳が出る
- ✔️鼻水が濃くて黄色い
- ✔️頭痛がある
冷えタイプのかぜの場合、体を温めて発汗して邪気を追い出します。
熱タイプの場合、邪気を発散させ、体の熱を冷ます食材がよく使われます。
熱タイプのかぜの時にはコレ!
熱タイプの場合は、どういった食材がいいんでしょうか?
熱を冷ますお茶
のどの痛み、頭痛、黄色い鼻水、熱っぽいような夏かぜには、「体表面の熱を発散するお茶」がおすすめです。
ミントティー
中医学でミントは、のぼせやイライラ、微熱などの症状をスカッとクールにしてくれます。
菊花茶
菊花はイライラ、喉の痛み、目の充血、頭痛などにぴったり。生の菊花をおひたしなどで食べる地域もあるようですが、関西では菊花を売っているところ自体あまり見かけないのが残念。
桑の葉茶
桑の葉といえば、ドラッグストアではダイエットによいお茶として売っていますが、漢方薬や薬膳では熱を冷ましたり頭痛対策などによく使われます。
いずれも、乾燥させたものが中国食材店やネットで手に入ります。ミントも菊花も桑の葉も、薬膳を学ぶまでどれもほとんど使ったことがありませんでしたが、今ではわが家も常備しています!
かぜはもちろんですが、これらのお茶は、パソコンで目が疲れた時、花粉症の目の痒みなどにも使えるのでオススメ。香りも楽しめるのでリラックスタイムにもいいですね。
ミント、菊花、桑の葉の他にも、ドクダミ、たんぽぽ、緑茶などは体の熱を取る効能があります。
熱を冷ます食材
邪気を発散させて熱を冷ます食材は、
きゅうり、トマト、セロリ、大根、白菜、すいか、梨、りんごなど。
これらの食材は単品で取り入れてももちろんいいのですが、組み合わせることで効果アップする薬膳レシピがおすすめです。
熱タイプのかぜの薬膳レシピ
トマトときゅうりと香味野菜のサラダ
\特に熱が高い時、のどが腫れて痛い時に!/
- 材料(適量)
- トマト
- きゅうり
- みょうが
- しそ
- ミント
- 作り方
- すべて小さく切り、めんつゆで和えて完成。のどが痛くて食欲がない時は、材料をミキサーにかけてスープ状にしても。
体の熱を取る涼性の野菜と、香味野菜を組み合わせます。ミントは体表の熱を取り、みょうがとしそは夏野菜の涼性を和らげます。
セロリや冬瓜などを入れても。熱タイプの症状は体の水分を消耗するので、スープやジュースなど水分が補えるものがよいですね◎
菊花とミントと梨の香り茶
\特に咳がひどく頭痛がある時に!/
- 材料(適量)
- 菊花
- ミント
- みょうが
- 梨(皮を使っても)
- 作り方
- 鍋に材料をすべて入れ、水250mlを加え、10分ほど加熱する。
梨は実を使ってもいいのですが、ちょっともったいない…という場合、皮をどうぞ。梨の皮は立派な咳の生薬です。
梨をお茶に!?ミントとみょうが!?意外な組み合わせですが、梨の甘みにミントの爽やかな香りが加わって、意外とおいしいんですよ。
梨のはちみつ蒸し煮
\喉が乾燥して痛い時に!/
- 材料(適量)
- 梨
- はちみつ
- あればクコの実
- 作り方
- ①梨のヘタを切る
- ②芯の部分をくり抜く
- ③くり抜いた部分にはちみつを入れる
- ④蒸し器で40分蒸す(レンチンでも可)
- ⑤汁ごといただく
梨はそのままでももちろんおいしいのですが、はちみつと組み合わせることで潤い効果アップします。生で食べたい場合、ミキサーにかけてジュースにしてもいいですね。
https://www.natugoyomi.com/post-1113/
すいかとレモンの生搾りジュース
\熱が続く時に!/
- 材料(適量)
- すいか
- レモン汁
- 作り方
- すいかを小さく切ってタネを取り、ミキサーにかける。レモン汁を加える。
すいかは、天然の白虎湯といわれるほどの薬効があり、熱が出た時に最適。「そのまま食べればいいんじゃ?」と思いがちですが、ジュースにすればすっごく飲みやすいんです!レモンを入れることでさっぱりして潤いも補えます。
レモン汁入りのスイカジュースは、中国では発熱時や夏の暑苦しい時の定番ドリンクだそうです。わが家の子どもたちにも大好評でした!
フルーツは体を冷やす寒涼性のものが多いので、熱がある時には自然の力で熱を冷ましてくれます。ただし冷え性の人は体が冷えすぎる場合があるので、常温でどうぞ。秋冬は梨やりんご、春はオレンジやグレープフルーツなどで作ってもいいですね。
- 「高熱があるなら、冷たいもので冷やせばいいのでは?」とアイスクリームを食べるのはNG!自然の食材は体の熱を尿と便で取りますが、アイスクリームは胃腸を冷やします。特に子どもは胃腸が弱いので負担になってしまいます。
- 熱が出て苦しい時は、すいかやりんご、梨など、自然の食材の熱を冷ますパワーを取り入れてくださいね。
タイプに合わせて対処を
今回は熱タイプのかぜの養生についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか?
かぜってついつい甘く見てしまいますが、実は意外と難しい病気だとも言われます。変化が早く、その人の体質や症状によっても対処法が変わってくるからです。
また、今回のような熱タイプの場合は、熱を冷ます食材がおすすめですが、冷えタイプの場合や、急性の症状ではなく慢性的な咳や頭痛だとまた対処法が変わってきます。またの機会にご紹介したいと思います。