しっかり睡眠をとることが体にいいとわかっていても、眠れない…!そんな悩みを持つ人ってけっこう多いんですよね。「眠れない」と不安が募ると、余計に不眠が悪化することも!?中医学から見た不眠のケアをご紹介します。
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不眠とはどんな状態?
適切な睡眠時間は一般的に6〜8時間。ただし個人差があります。睡眠時間が短くても悩んでいなければ問題ナシ!
- ✔︎寝つきが悪い
- ✔︎熟睡できない
- ✔︎眠りが浅い
- ✔︎朝早く目が醒める・途中で目が醒める
- ✔︎夢をよく見る
- ✔︎起きてからめまい、頭痛、動悸など不快な症状がある
- ✔︎日中に眠くなる
こんな症状が1ヶ月以上続き、倦怠感や集中力の低下を感じる場合は、不眠症と考えます。
西洋医学と中医学の不眠症
一般的な病院だと、脳の活動を抑えて睡眠障害を改善する薬を処方されることが多いようです。「脳を鎮静化する作用」で眠りに導くのですが、その場合、不自然な眠りになることがあるともいわれます。一方、中医学では不眠のタイプを何種類かに分けて考え、その人に合った処方をします。
- ◆中医学から考える不眠症
- ✔︎太陽が昇り陽の時間になれば起きる、夜になり陰の時間になれば寝る。不眠は、自然のリズム「陰陽バランスが崩れた状態」だと考えます。
- ✔︎不眠の大きな原因になるのが「メンタル面」。イライラして眠れない、考えすぎて眠れない。逆に遠足の前日にワクワクしすぎて眠れないのもメンタルの影響。実はメンタルへのアプローチも中医学の得意分野です。
- ✔︎中医学的には「陰(体を落ち着かせる潤い)」が足りていない、熱っぽいタイプが不眠症になりやすいと考えます。陰が不足しているとイライラもしやすくなります。
- ✔︎「冷えて眠れない」は直接の不眠の原因じゃないかも?雪山で遭難すると眠くなるというように、中心体温が下がると眠気がくるのです。中医学でも不眠は熱がこもっているタイプが多いと考えます。冷えている原因を取り除けば眠れるかもですよ。
不眠の代表的な4タイプ
さて、ここからは薬膳的に見た不眠のタイプと対策をみていきます。
入眠障害タイプ
ベッドに入っても、ひどい時は朝まで寝付けない!
「ストレスが多く、精神的に不安定・怒りやすいタイプ」。気の巡りが悪くなり、さらに熱がこもってイライラ、ほてり、興奮などで寝付けなくなります。
- ◆症状
- イライラしやすい、怒りっぽい、頭痛、目が赤い、めまい、耳鳴り、動悸、口が苦いなど
- ◆食材
- しじみ、豆腐、カニ、トマト、セロリ、ゴーヤ、レモン、酢、じゅんさい、緑茶、スイカ、菊花、決明子(はぶ茶)など
- ◆対策
- 心地いいことでストレス発散し、自律神経をととのえましょう。ハーブティやアロマなどもおすすめです。
ちょっと余談。
中途覚醒タイプ
モヤモヤ考えすぎて入眠できないことも…
「女性によくある、気血が足りていないタイプ」です。血は精神を落ち着かせる働きがあるのですが、女性は血不足になりがちなので生理中や産後や病後などは特に要注意!
- ◆症状
- クヨクヨしがち、夢が多い、顔色が悪い、動悸、忘れっぽい、精神疲労、食欲がない、めまい、手足のだるさ、お腹が張る、下痢しがち
- ◆食材
- いか、たこ、卵、百合根、牡蠣、うなぎ、なつめ、ぶどう、龍眼肉、山芋、じゃがいも、かぼちゃ、キャベツ、鶏肉、牛肉、はちみつなど
- ◆対策
- このタイプは日々の食事でしっかり栄養を摂ってしっかり休むことが大切。胃腸の弱い人は野菜嫌いだったり甘い物をついつい食べすぎたりが多く、気血を生み出しにくいのです。ふだんの栄養バランスに気をつけて。
気血不足タイプの不眠には、気血を補うもの、安神作用があるものがおすすめ!おすすめのひとつが龍眼肉。心を落ち着かせる作用があります。単品で食べるのはもちろん、デザートにすればさらに効果アップ。ただし龍眼肉は食べ過ぎにご注意。吹き出物が出やすくなるそうです。
なつめと龍眼肉の赤ワイン煮
- 材料(3食分ぐらい)
- なつめ60g
- 龍眼肉30g
- 黒砂糖大さじ1
- 赤ワイン1カップ
全部を5分ほど煮るだけで完成!
龍眼肉は血を補って、集中力低下や不眠不安にgood。甘いものが食べたい欲も落ち着きますよ。アジア系のレストランやアジア食材店などにいくと生のものに出会えます。
早朝覚醒タイプ
二度寝したくても寝られない!これって年のせい…?
早朝に起きるだけじゃなく、なかなか寝られないことも。
「加齢や慢性病、疲労、更年期など腎の不調から起こるタイプ」です。生命エネルギーの充電池である「腎」の弱りで睡眠がうまく取れない状態に。また、潤いが不足して熱が過剰になり、睡眠障害が起こりやすくなります。「潤い」を意識しましょう。
- ◆症状
- 動悸、夢が多い、めまい、耳鳴り、腰膝の痛み、寝汗、手足の裏が熱い、物忘れ、口が渇く、生理不調
- ◆食材
- すっぽん、ホタテ、牡蠣、豚スペアリブ、山芋、豆腐、牛乳、ほうれん草、鴨肉、小松菜、アスパラガス、白木耳、卵、クコの実など
- ◆対策
- このタイプは加齢などで睡眠不足になりやすいのが特徴。栄養を十分にとって、無理をしないようにしましょう。眠れないからといってスマホなどを見ていると悪化するのでご注意。
すっぽん最強説!薬膳的にもとてもよいのです。が、手に入りづらいし、お値段もちょっとお高め。すっぽん以外にも「海のもの」を意識してみるといいですね。牡蠣、あわび、ほたて、いか、たこなど魚貝類は「陰」を補います。(アレルギーの方は控えてくださいね〜)
熟眠障害タイプ
暴飲暴食も多いし、食べる時間も遅いしなあ。
ムカムカして寝られない。
「胃腸に負担がかかっている消化不良タイプ」です。夜遅くに食べると、消化にエネルギーを使い、横になっても胃が動いている状態なので体が休まりません。アルコールも量が多ければ眠りが浅くなる原因に。
- ◆症状
- むかむか、胸の詰まり、胃の不快感、げっぷ、吐き気、痰が多い、頭が重い、食欲がない、口が苦い
- ◆食材
- たけのこ、大根、わかめ、そば、くらげ、きゅうり、烏龍茶、プーアル茶など
- ◆対策
- このタイプは生活改善が大切。夜遅い食事は体の負担になりやすく、太りやすくなるというデータもあります。どうしても夜遅くなるなら、食事を分割したり、夜遅く食べるものをあっさりしたものに変えるなどの工夫を。
生活全般で気をつけたいこと
- ✔︎生活全体の見直しを!
- ベストの就寝時間は22時〜23時。この時間に眠れない人は生活が乱れていたり、ちゃんとした食事をしていないかも?生活全般の見直しを。
- ✔︎食べる時間も重要!
- 23時に寝るとすれば20時には夕食を食べ終わるなどしてその後は胃の中に何も入れないのがベスト。
- ✔︎朝食に力を入れて!
- 朝食をとることで腸や肝臓が「朝だ」と認識します。ごはんなどの炭水化物と、肉や魚、卵などのタンパク質をセットにすることがポイント。また夕食から12時間以上あけるとより効果的です。
春に不眠が増えるわけ
春は体がアクティブモードに切り替わる時期。陽気の高まりのせいで、体の中が活発になると同時に、体の中が不安定になったり、そわそわと落ち着かなかったり。気にするとさらに眠れなくなることがあるので、ゆったりとした気持ちで、リラックスを心がけるのがいいですね。ストレッチや自然の中を散歩するのも効果的です。
また春は体の潤いを消耗しやすい時期。潤いがなくなると熱が高まって不眠の原因になります。ふだんから暑がりやのぼせやすい、めまいがする、頭痛、目が赤いなどの症状がある人は、「早朝覚醒タイプ」の対策を参考にしてみてください。
眠れなくても目を瞑る
「眠れなくても横になっていた方がいいの?」気になりますよね。目をつぶっているだけでも脳に入ってくる情報を遮断することになり、横になって目を瞑るだけでも休息になるといわれます。ただ、「眠れない」と焦るのはよくないので、考えすぎないことが大切ですね。
そのほか気をつけたいこと
- ✔︎1日1万歩ぐらい目指して歩く
- ✔︎休みの日も寝溜めせず決まった時間に起きる
- ✔︎目覚めたら朝日を浴びる
- ✔︎眠る1時間半ぐらいまでにお風呂に入る
- ✔︎スマホ・PCは寝る30分前に終了
不眠を漢方で治したい人はライン漢方相談が便利です
それは生活習慣とつながっているからですよね。
ふだんの生活から見直していきましょうー!