こんにちは、キョウです。とっても暑い日が続きますが、みなさんいかがおすごしですか?今回は、今の時期(7月中旬〜8月上旬)、三伏(サンプク)についてご紹介したいと思います。
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そもそも三伏とは?
「三伏」は日本ではあまりなじみがありませんが、「三伏のみぎり」など時候のあいさつなどではよく使われます。
◆三伏とは?
- ✔︎初伏、中伏、末伏の3つが三伏
- 陰陽五行説の考え方に基づく選日のこと。中国の秦が起源といわれています。
- 初伏、中伏、末伏の3つを総称して三伏といい、2023年は7/11~8/19です。
- ✔︎3つの庚(かのえ)の日から始まる
- 初伏…夏至の後、3回目の庚の日から10日間
- 中伏…4回目の庚の日から20日間
- 末伏…立秋後、1回目の庚の日から10日間
- ✔︎陰陽五行での意味
- 庚は金をさし、夏=火(燃え上がる猛暑)に伏するという意味があります。
- 金はまた秋のことで、酷暑の中に金気がひそむことを指しています。
うーん、ちょっと難しい。かんたんに言ってしまえば「秋の前の夏のいちばん暑い盛り」のことですね。
\こんな解説も/
三伏について、中医師の先生が面白い解説をしてくださいました。
三伏は陰と陽が入り混じる時期なんですよ。陰陽のいわゆる新婚さんの時期ですね。子どもができるように、三伏が終わると果実が実り始めます。
陰陽が混じり合う時期とは興味深い表現です。さらにこんなお話も。
暑邪、湿邪、熱邪、3つの邪気が入りやすく、夏バテや下痢も増えるので、ちょっと気をつけないといけない時期でもありますね。
確かに。暑さが厳しい頃、ついつい冷たい飲食が増える頃ですもんね。
冷えに負けない!夏に行う「冬病夏治」
この夏真っ盛りの時期に中国で行われるのが「冬の病気の予防」です。
なぜ冬の病をこの時期に?というと、三伏は一年で一番陽気が強くなり、体の気血の流れが旺盛になるから。
夏の強い陽気を利用して、陰気が旺盛になる冬の病の治療をする。これを「冬病夏治(とうびょうかじ)」といいます。冬の病気を夏に治す…東洋医学って面白いですよね。
- ◆冬病夏治 とうびょうかじ
- 慢性気管支炎、喘息、肺気腫、リウマチなど慢性の病気がある人は、夏の強い陽気の力を借りて夏に治療する。
冬病夏治は冬を元気に過ごすための養生の知恵。
薬膳で冬病夏治といえば、暑い夏にあえて体を温める羊肉などを食べるなどの方法があります。他にも冬病夏治の養生法はいろいろあるんですよ。
陽気を強くする三伏貼にトライ
冬病夏治の中でも中国でポピュラーな養生のひとつが「三伏貼さんぷくちょう」です。
背中やおなかのツボの上に、生薬を混ぜたものを湿布のように貼ります。(ツボ湿布のようなイメージでしょうか)
中国や台湾では子どもから大人まで、三伏の時期になると三伏貼をする人が多いのだとか!初伏、中伏、末伏の期間中に1回行って、これを数年間続けることで体質改善を狙うそうです。
お灸も盛ん。三伏にお灸をする中国の様子はこちら↓
\どんな人に向いている?/
- 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギーのある子ども
- 成人の喘息、高齢者の慢性気管支炎、肺気腫、婦人科疾患、お腹の冷えなどがある人
- ※妊娠中、熱がある、糖尿病、2歳以下の子どもなどにはNG
三伏貼を真似て温熱シート
中国の病院では白芥子、細辛、乾姜、甘遂などの生薬を混ぜた薬剤を使って三伏貼をするそうです。私もやってみようかなと思い、ネットで探してみたのですが見当たりませんでした。代わりに「よもぎしょうが温熱シート」を発見!しょうがとよもぎのパワーで経絡を温めるとのこと。
さっそく半分にカットして、絆創膏のようにへそ下にペタッと貼ってみました。手軽さは抜群です。
貼ってみると…ん?めちゃピリピリする…痛痒い!?なんだこれは!そしてジワジワ熱くなる感じ!
説明書によると、使用時に多少痛みを感じることがあっても邪気を排出しているので問題ないそうです。
パッケージの裏面をアプリで翻訳してみると、しょうが油やよもぎ油、当帰などが使われています。
イタタタ痛いーー!!!はがしたところが真っ赤になって、お湯がしみる!
説明書をちゃんと読むと、「ツボを開いて毛穴を拡大するので、はがしてから30分後に入浴してください」と書いてありました。これは思わぬ大失敗。
けっこう痛かったのですが、「痛さがあっても我慢できるなら使い続けてみてください」とあります。ここでやめないのが私。もう一度貼ってみたところ、あら?今度は赤くもなりませんでした。なぜかクセになるこの感じ。使い続けると、冷えの症状がよくなるのかも?興味のある方は自己責任でトライしてみてください!
韓国の三伏は「以熱治熱」
中国の三伏をみてきましたが、お隣の韓国にも三伏(삼복)の習慣があります。
- 韓国語では「伏日(ポンナル)」といい、2023年は
- 初伏(チョボッ)…7月11日(火)
- 中伏(チュンボッ)…7月21日(金)
- 末伏(マルボッ)…8月10日(木)
この3日を合わせて「三伏(サムボッ)」と呼ばれます。
韓国的な暑さ解消方法
「이열치열 イヨルチヨル」は「以熱治熱(熱を以って熱を治す」という意味。
暑さは熱い料理で制す!とばかりに、熱いものや辛いものを食べて汗を流し、暑さを吹き飛ばそうという韓国的な暑さ解消法です。
韓国の三伏は滋養強壮や夏バテによい「サムゲタン(参鶏湯)」や「チュオタン(どじょう汁)」を食べるのが定番。
私のK-POP推しグループメンバーも「暑い日には熱いサムゲタンです!」と言っていましたが、伏日にはOLさんたちも「サムゲタンを食べに行こう!」となるんだとか。最近ではサムゲタンの代わりに蒸し鶏やチキンカルビ、韓国式チキンなどチキン料理を食べることも多いそうです。
参鶏湯の作り方記事はこちら↓
https://www.natugoyomi.com/post-5852/
三伏にポシンタンの理由
そして韓国で伝統的な三伏の食に「ポシンタン(犬肉鍋)」があります。
陰陽五行でみると犬は西、つまり金に属します。金の気が旺盛な犬肉を食べて、火(夏)に負けがちな金を補充し、心身のバランスを整えるという考え方に基づいているのです。
またポシンタンは高タンパクで消化吸収がよく、虚弱な人や高齢者の栄養食にふさわしいことからも養生食になったようです。
実は私もソウルで犬肉料理「ポシンタン」を食べたことがあります。
当時は薬膳には興味がありませんでしたが、夏の体力増強にぴったりということはなぜか知っていて、わざわざ探して食べに行ったんです。
真夏の暑い盛りでしたが、店内は夏負けしないよう体力をつけようと、たくさんの人が訪れていたのを覚えています。犬肉は薬膳的に見ると体を温める温性の食材。さらにニラなどの温熱性の野菜がたっぷり入っていて、まさに韓国の「以熱治熱(熱を以って熱を治す」を感じた食体験でした。
三伏の養生、いかがでしたでしょうか?
夏の暑い盛りにあえて体を温めたり、熱いものを食べる中国・韓国の習慣。ついつい冷たい飲食が増えがちな時期だからこそ、ふだんの生活に取り入れて元気に乗り越えたいですね!